Project 風土から生まれる表現を世界にひらく多言語対応の工芸プラットフォーム

Release 2025.06
Client 認定NPO法人趣都金澤 様「GO FOR KOGEI」総合サイト
Role UX Design,Direction,Design,Front End Development
Url https://goforkogei.com/

Outline

認定NPO法人趣都金澤は、金沢の文化を機軸とした市民主導のまちづくりを行う認定NPO法人です。2020年から展開する「GO FOR KOGEI」は、ものづくりが古くから受け継がれる北陸から、新たな工芸の見方を発信するプロジェクト。地域の歴史・風土を体現する町並みや社寺を会場にした展覧会やイベント、工芸を巡る今日的な課題と可能性について議論を深めるシンポジウムなどを開催してきました。

プロジェクトの核心は、「KOGEI」という言葉を通じて、歴史的に規定されたジャンルを通貫するオルタナティブな評価軸を提案すること。近代化のなかで「美術」と「工芸」に分離されたジャンルの力学を再考し、素材や技法をもとに手の内から表現が練り上げられる「工芸的アプローチ」という視点から、既存のジャンルをゆるやかに解きほぐす手立てを提示しています。

海外での展示会展開にあたり、このプロジェクトの理念と活動を総合的に発信するプラットフォームが必要でした。国内外の芸術関係者に対して、世界各国でのGO FOR KOGEI展開状況と、現代アートから日常の工芸品まで扱う幅広さを、スタイリッシュかつ明快に伝えることが求められていました。

ニコットラボは、総合サイトの制作を通じて、工芸と人をつなぐ「窓」のようなデザインを実現。モノクロを基調としたモダンなビジュアルと多言語対応により、「KOGEI」の今を世界に開く情報基盤を構築しました。

「工芸」を日常にひらく、スタイリッシュな"窓"をデザインする

工芸の新しい評価軸を、グローバルに発信

GO FOR KOGEIが提案するのは、新たなジャンルの展開ではなく、オルタナティブな評価軸です。「美術」と「工芸」という近代的な分離を再考し、完成された作品の素材や技法ではなく、作者がモノと向き合うアプローチ——「工芸的アプローチ」——に着目する視点を、どう分かりやすく伝えるかが課題でした。

海外展開に向けた総合的な情報発信基盤

海外展示会の展開にあたり、総合的なプラットフォームが必要でした。ターゲットは国内外の芸術関係者(特に若年層)。以下を明確に伝える必要がありました:

  • 世界各国でのGO FOR KOGEI展開状況
  • 現代アートから日常の工芸品まで扱う幅広さ
  • 北陸の歴史・風土とプロジェクトの結びつき

「窓」としてのデザイン

GO FOR KOGEIは、一般の人と「工芸」をつなぐ存在です。初めて訪れる人にもプロジェクトの世界観がしっかり伝わりつつ、スタイリッシュで洗練された印象を与えるデザインが求められました。

「窓」としてのサイト、「風土」を伝えるデザイン

オルタナティブな評価軸を、ビジュアルで体現

GO FOR KOGEIが提案する「工芸的アプローチ」を、サイトデザイン自体が体現することを目指しました。完成された作品の見た目だけでなく、その背後にあるプロセスや作者がモノと向き合う姿勢を伝えるため、バックステージ写真を積極的に使用。制作過程や議論の場面も取り入れることで、プロジェクトの多面性を表現しました。

セリフ体とモノクロが生む、普遍的な洗練

モノクロを基調とし、セリフ体を採用した理由は、工芸作品の多様な色彩や素材感を引き立てるためです。サイト自体が前に出すぎず、あくまで「窓」として機能することを意識。セリフ体の選択は、伝統的な工芸と現代アートを架橋するプロジェクトにふさわしい、タイムレスな印象を演出しています。

地図が語る、風土とプロジェクトの結びつき

MISSIONセクションの背景に配置した北陸の地図は、単なる装飾ではありません。ものづくりが古くから受け継がれてきた風土と、そこから生まれるGO FOR KOGEIというプロジェクトの必然性を、視覚的に語る要素として機能。地図がゆっくりと動く演出は、時間の流れや歴史の積層を暗示し、プロジェクトの深みを感じさせます。

ファーストビュー:15秒以内の動画を使用。動画の上にタグライン「New Perspectives on Craft from Hokuriku」を配置し、動画の最後にロゴを表示。

インタラクション:MISSIONセクションの背景に北陸の地図を配置し、ゆっくりと動く演出で風土とプロジェクトの結びつきを表現しました。

PROJECT TEAM

  • NPO Syuto Kanazawa Agency
  • Emi Sato Planning / Direction
  • Huang Siyi Art Direction / Design
  • Shingo Takeuchi Front End Development