Project 「静かに、深く、美しく。」
通い続けられる歯科医院を、トータルブランディング。

Client 金澤オーラルケアクリニック
Role Project Management,Direction,Art Direction,Design,Photograph,Copywriting
Url https://oralcare-kanazawa.clinic/

Outline

「静かに、深く、美しく。」をコンセプトに、金澤オーラルケアクリニック様の新規開業に伴うトータルブランディングを担当いたしました。
「通い続けられる」「上質で洗練された」「専門性の高い」クリニックを目指し、ブランドコンセプトの策定からロゴ、グラフィック、院内サイン、Webサイトに至るまで、一貫した世界観をデザイン。
歯科医院としての安心感を大切にしながらも、従来の"歯医者らしさ"にとらわれない、心地よく親しみを感じていただけるブランディングを実現しました。

治療する場所から、通い続ける場所へ

「痛くなったら行く歯医者」ではなく、治療と予防を通して長く通い続けられる歯科医院へ。

金沢オーラルケアクリニックは、患者様が自分の口腔内の状態や治療内容を理解し、納得したうえで選択できる医療を目指して開院しました。保険診療の枠にとらわれず、より良い治療方法や素材を追求し、一人ひとりに合わせた治療を提供しています。
だからこそ、「専門性の高い歯科医院」であることを伝えるだけでなく、確かな技術と患者様に寄り添う姿勢、その両方を感じてもらえるブランドづくりを目指しました。

軸としたのは、「通い続けられる」「上質・洗練」「専門性の高さ」の3つ。歯科医院らしさに寄りすぎない世界観を、Webサイト・ロゴ・グラフィック・サインまで一貫してデザインしました。
治療のためだけでなく、これからの健康を支える場所として。自然と通いたくなるクリニックの姿を表現しています。

 

Webサイト プロジェクトタイムライン

約1年間かけて、リサーチ・方針策定からティザーサイト公開、本サイト制作・公開、そして保守運用までを段階的に進めるプロジェクトです。まずティザーサイトを先行公開し、並行して本サイトのデザイン・開発を進めることで、早期の情報発信と質の高い本制作を両立させました。

 

空間から読み解く、
「歯医者らしさ」に寄りすぎない世界観

内装で使われる素材やトーンをリサーチし、そこから読み解けるブランドの方向性を言語化するところから方針策定が始まりました。親しみやすさとスタイリッシュさ、相反しがちな2つの印象をどう両立させるか。対話を重ねる中で、「通い続けられる」「上質・洗練」「専門性の高さ」という3つのキーワードに集約されていきました。

抽出したブランドトーンは、「静かに、深く、美しく。」という一言に。媒体ごとに表現の強弱を調整しながら、クリニック全体で一貫した世界観へと落とし込んでいきました。

空間から読み解いたブランドトーンを、キーワードへと言語化していきました

「K」と「O」がつなぐ、途切れない一筆書きで表現したロゴ

クリニック名の頭文字「K」と「O」を歯に見立て、一筆書きのロゴとしてデザインしました。途切れのない一本の線で「K」から「O」へとつながる形は、「継続する医療」の象徴です。

歯の形を直接的に描くのではなく、シンプルなフォルムと抽象的なシルエットに落とし込むことで、”歯医者らしさ”に寄りすぎないモダンな印象を実現。同時に、線のみで描かれたシンプルな輪郭は、内側を塗りつぶさないことで生まれる白い余白によって”白い歯”を思わせる輝きを宿し、医療領域であることを静かに、しかし確かに伝えるロゴとなりました。

円のリズムから生まれる、精緻なフォルム

規則的な円のグリッドを基準に、「K」の輪郭一本一本を丁寧に構築しています。感覚的な造形ではなく、円の配置とリズムに基づいて曲線を導くことで、シンプルな一筆書きの中にも狂いのないバランスと精度を持たせました。

掲示物やサインなど使用箇所に合わせて柔軟に対応できるよう、複数のロゴパターンを設計しました

情報の“見せ方”を、何度も検討した設計プロセス

クリニックからいただいた原稿には、診療内容や治療へのこだわりなど、伝えたい情報が数多く含まれていました。それらをただ並べるのではなく、どの情報から読ませ、どこで余白をとり、どう視線を誘導するか。情報の粒度や優先順位を整理しながら、ワイヤーフレームの検討を重ねていきました。

専門的な内容であっても圧迫感を与えず、自然と読み進められる構成にすること。情報量の多さと、上質で落ち着いた世界観を両立させることが、このフェーズでもっとも時間をかけたポイントです。

原稿の情報量と読みやすさのバランスを探り、ワイヤーフレームの検討を何度も重ねました

 

明朝体と余白が生む、静かな上質さ

ロゴやグラフィックで確立したブランドトーンを、Webサイトでは明朝体と余白を活かした落ち着いたレイアウトへと落とし込みました。院内の内装に使われるグリーンやベージュを配色に取り入れることで、実際にクリニックを訪れたときの空気感とサイト上の体験がひとつながりになるよう設計しています。

専門性の高さを感じさせながらも、どこか温かみのある佇まい。「歯医者らしさ」に寄りすぎない上質な世界観を保ちながら、患者様が安心して情報に触れられることを大切にしました。

明朝体と余白を活かし、落ち着いたレイアウトに仕上げたWebサイト

スマートフォンでは限られた画面幅の中で情報が伝わるよう、文字サイズや余白を調整し読みやすさとわかりやすさを追求しました

クリニックの世界観を、紙もの一枚一枚へ

ロゴやWebサイトで築いたトーンを、名刺や開院チラシといった紙媒体にも一貫して展開しました。内装やロゴから続く落ち着いた上質感を保ちながら、実際に手に取ったときの温かみも大切にしています。

開院チラシ
内覧会の告知を兼ねた開院チラシでは、「静かに、深く、美しく。」というコンセプトのキーワードをそのままメッセージとして使用。外観写真を大きく配置し、院長の写真も掲載することで、クリニックの雰囲気や人柄が伝わる紙面を目指しました。

名刺
シンボルマークの一筆書きのラインを、名刺の中でもグラフィック要素として展開。院長の名前や連絡先といった実用的な情報を、クリニックの世界観を体現するデザインの中に落とし込みました。

建築との対話から生まれた、外観サイン

外観の壁面看板は、建築設計を手がけたトイットデザインとクライアントを交えながら、何度も検討を重ねました。建物の外観とロゴ・文字の配置バランス、視認性と上品さの両立など、単独のデザインでは決まらない要素が多く、建築側の視点を交えたすり合わせが欠かせないプロセスでした。パターンごとにロゴと文字の位置関係を比較しながら、建物全体として最も自然に見える構成を選び取っています。

ロゴと文字の配置バランスを比較しながら、何度も検討を重ねました

読みやすさと上品さを両立した、院内サイン

診察室のドアサインでは、数字の視認性を保ちながらも、クリニック全体の上質なトーンを損なわない書体・レイアウトを選定しました。欧文には Helvetica Neue、日本語には游ゴシックを採用し、無機質になりすぎない、落ち着いた印象に仕上げています。廊下を歩く中で自然と目に入る数字のサインひとつにも、クリニック全体の世界観が息づいています。

空間になじむ書体・配色を検討した、院内サインのデザイン提案資料

一貫した世界観が、クリニックのすべてに息づく

「通い続けられる」「上質・洗練」「専門性の高さ」。この3つのキーワードを軸に、ロゴやWebサイトから、グラフィック、サインに至るまで、クリニックのあらゆる接点に一貫した世界観を築いていきました。

歯科医院らしいモチーフを直接的に用いるのではなく、空間の素材やトーンから丁寧に言葉を紡ぎ、抽象化して表現する。そうしたプロセスを積み重ねることで、「静かに、深く、美しく。」という一つのコンセプトが、単なるキャッチコピーではなく、クリニックの隅々にまで息づく世界観として形になりました。

金澤オーラルケアクリニックが目指したのは、治療のためだけの場所ではなく、これからの健康を支えるために自然と通いたくなる場所であること。今回のブランディングを通して、その想いを訪れるすべての人に伝えられるクリニックの姿を描くことができました。

PROJECT TEAM

  • 田端華帆(nicottolab, Inc.) Art Direction / Design
  • 嶋崎ひなた(nicottolab, Inc.) Direction
  • 真間里佳(nicottolab, Inc.) Design
  • 松井葉月(nicottolab, Inc.) Design
  • 小野木 沙紀(Grace Design Works) Front End Development
  • 山本哲朗(tetoru) Photograph