研究の価値を、学生・企業・社会へ届け研究室サイトの考え方


私たちが日々研究サイトを制作している中で、大事にしているポイントをご紹介いたします。
研究室サイトを訪れる人が最初に知りたいのは、専門用語の定義ではありません。
「この研究室は、何に向き合っているのか」
「その研究は、どんな未来につながるのか」
まずは、その問いに答える言葉が必要です。
弊社が携わってきた、ナノポア、一分子計測、DDS、腫瘍免疫、核融合。研究を正確に説明しようとするほど、言葉は難しくなります。だからこそ専門的な説明の前に、研究の核となる一言を置くことが大切です。
たとえば、東京大学・上村研究室は「一分子の個性を理解する」。金沢大学・中村研究室は「がんが、本当の意味で身近な病気になる未来へ」。こうした言葉があることで、研究の仕組みだけでなく、その先にある意志や社会との接点まで伝わります。
研究を単純にするのではなく、複雑な研究の中にある問いを見つけ、誰にでも届く入口をつくる。それが、魅力ある研究室サイトの最初の仕事です。

学生が研究室を選ぶとき、「どんな研究をしているか」と同じくらい、ここでしか得られない経験があるかを見ています。
企業や共同研究者にとっても、「どんな技術や体制を持ち、何を一緒に進められるのか」は大切な判断材料です。
たとえば、同じ環境系の研究でも、微量元素の分析だけでなく、海洋・植物プランクトン・資源循環までをつなげている研究室があります。化学の基礎研究と環境改善技術を結びつけていること自体が、その研究室の特徴になります。
また、研究の強みは技術だけではありません。
長年蓄積してきた論文や受賞歴、複数の教授・学生が関わる研究体制、海外との連携、社会実装を見据えたロードマップなども、その研究室ならではの価値です。
医療機器の研究であれば、検査精度だけでなく、「乳幼児やった高齢者など、自覚的な反応が難しい人にも届けたい」という将来像まで伝える。
研究室サイトでは、研究テーマの一覧ではなく、技術・人・体制・社会への出口を通して、“なぜこの研究室なのか”を見せることが重要です。

研究室サイトは、誰に何を届けたいかによって、優先すべき情報が変わります。

どの研究室にも、研究の背景や仕組みをまとめたPowerPointがあります。
そこには、研究者にとって必要な情報が細かく整理され、ポンチ絵も数多く入っています。一方で、そのままWebサイトに載せても、学生や専門外の企業には伝わりにくいことがあります。
大切なのは、資料をきれいに並べ直すことではありません。まず時間をかけて読み込み、先生や研究者にインタビューを行い、研究の本質や、いちばん伝えるべきポイントを理解することです。
そのうえで、情報を削ぎ落とし、デザインの視点で「どこを見せるか」を決めます。静止画のポンチ絵だけでは伝わりにくい流れや変化は、アニメーションを使うことで、より直感的に理解できるようになります。
研究者には正確に伝わり、学生や共同研究先には「なるほど」と思ってもらえる。
そんな図解ができると、Webサイトのためだけでなく、学生への説明、共同研究の紹介、学会発表やプレゼンテーションにも活用できる資産になります。先生方に喜んでいただける理由も、そこにあります。

研究室サイトで、学生に一番伝わるのは、研究テーマの説明だけではありません。
「どんな先生がいるのか」「どんな学生が集まり、どんな空気の中で研究しているのか」。
研究室の雰囲気を映すことは、学生募集において特に重要です。
予算に応じて、研究室のメンバーがiPhoneで撮影する方法もあります。ただ、教授や学生のポートレート、実験・議論の風景、研究設備、研究室の空気感まで伝えたい場合は、プロのカメラマンによるスチール撮影が大きな差になります。構図、光、表情、撮るべき場面まで設計された写真は、サイト全体の信頼感をつくります。
動画は必須ではありませんが、予算があれば非常に効果的です。特に学生募集では、先生の言葉、学生の表情、実験の様子、研究室の日常が短時間で伝わります。学生にも必ず出演してもらうことで、「自分もここで研究するかもしれない」というイメージを持ってもらいやすくなります。
研究室のメンバーは毎年変わり、学生の顔ぶれや研究環境も少しずつ変化します。写真や動画は一度撮って終わりではなく、2〜3年に一度を目安に撮り直すことで、今の研究室らしさを保つことができます。

研究室サイトでは、論文や研究テーマを紹介するだけでなく、その研究が将来、誰のどんな課題につながっていくのかまで見せることが大切です。
たとえば医療系の研究であれば、技術の精度や仕組みだけではなく、患者や家族にどんな安心を届けられるのか。
環境系の研究であれば、分析技術や基礎研究が、資源循環や自然環境の改善にどう役立つのか。
エネルギーや材料の研究であれば、社会や産業の未来にどんな可能性をつくるのか。
研究者にとっては当然の前提になっていることでも、学生、企業、メディア、資金配分機関にとっては、そこが最も知りたい部分でもあります。
社会実装、共同研究、実証実験、製品化へのロードマップ、連携先、将来のビジョン。
こうした情報を研究内容とつなげて見せることで、研究が「今、何をしているか」だけでなく、「これからどこへ向かうのか」まで伝わります。
研究の価値を、研究室の中だけで終わらせない。
社会との接点まで丁寧に見せることが、共感する学生や企業、新しい協力者との出会いにつながります。

研究室サイトは、研究内容を掲載するだけの場所ではありません。
研究の価値を整理し、学生、企業、共同研究者、社会との接点をつくる発信拠点です。
研究の目的を一言で伝えること。
研究室ならではの強みを見せること。
図解や写真、動画を使いながら、難しい研究を分かりやすく届けること。
そして、研究が社会にどうつながるのかを伝えること。
こうした設計によって、研究室サイトは「ここで研究してみたい」「一緒に取り組みたい」と思ってもらう入口になります。
また、Webサイトだけでなく、研究室の発信全体でビジュアルをそろえることも重要です。
研究紹介のPowerPoint、学会発表資料、ニュースレター、研究室案内、採用・学生募集資料なども、同じ考え方とデザインで整えることで、研究の信頼感や認知はより高まります。
ニコットラボの研究デザインラボでは、研究内容の整理、情報設計、図解、撮影、Webサイト制作に加え、PowerPointやニュースレターなどの発信ツールまで一緒に設計しています。
研究の魅力を、研究室の外へどう届けるか。
研究室の発信を見直したい方は、研究デザインラボへご相談ください。