研究の価値を、学生・企業・社会へ届け研究室サイトの考え方

私たちが日々研究サイトを制作している中で、大事にしているポイントをご紹介いたします。

目次

  1. 研究の核心を、ひとつの言葉にする
  2. 技術だけではない、研究室の個性を伝える
  3. 学生、企業、世界へ。届け方を変える
  4. 研究の仕組みを、図解でひらく
  5. 学生が「ここで研究したい」と思う、研究室の温度を写真と映像で伝える
  6. 研究の先にある、社会との接点を描く
  7. まとめ

1. 研究テーマを、まず一言で伝えられるようにする

研究室サイトを訪れる人が最初に知りたいのは、専門用語の定義ではありません。

「この研究室は、何に向き合っているのか」
「その研究は、どんな未来につながるのか」

まずは、その問いに答える言葉が必要です。
弊社が携わってきた、ナノポア、一分子計測、DDS、腫瘍免疫、核融合。研究を正確に説明しようとするほど、言葉は難しくなります。だからこそ専門的な説明の前に、研究の核となる一言を置くことが大切です。

たとえば、東京大学・上村研究室は「一分子の個性を理解する」。金沢大学・中村研究室は「がんが、本当の意味で身近な病気になる未来へ」。こうした言葉があることで、研究の仕組みだけでなく、その先にある意志や社会との接点まで伝わります。
研究を単純にするのではなく、複雑な研究の中にある問いを見つけ、誰にでも届く入口をつくる。それが、魅力ある研究室サイトの最初の仕事です。

2. 研究内容だけでなく、「その研究室ならではの強み」を見せる

学生が研究室を選ぶとき、「どんな研究をしているか」と同じくらい、ここでしか得られない経験があるかを見ています。
企業や共同研究者にとっても、「どんな技術や体制を持ち、何を一緒に進められるのか」は大切な判断材料です。

たとえば、同じ環境系の研究でも、微量元素の分析だけでなく、海洋・植物プランクトン・資源循環までをつなげている研究室があります。化学の基礎研究と環境改善技術を結びつけていること自体が、その研究室の特徴になります。

また、研究の強みは技術だけではありません。
長年蓄積してきた論文や受賞歴、複数の教授・学生が関わる研究体制、海外との連携、社会実装を見据えたロードマップなども、その研究室ならではの価値です。
医療機器の研究であれば、検査精度だけでなく、「乳幼児やった高齢者など、自覚的な反応が難しい人にも届けたい」という将来像まで伝える。

研究室サイトでは、研究テーマの一覧ではなく、技術・人・体制・社会への出口を通して、“なぜこの研究室なのか”を見せることが重要です。

3. 学生、企業、世界へ。届け方を変える

研究室サイトは、誰に何を届けたいかによって、優先すべき情報が変わります。

  • 学生募集を重視する場合
    研究テーマだけでなく、教授や学生の雰囲気、日々の研究風景、教育方針、卒業後の進路まで見せることが大切です。
    「自分がここで研究する姿」を想像できるかが、研究室選びの大きな判断材料になります。
  • 企業・共同研究者との連携を目指す場合
    技術の強み、活用できる設備や研究体制、共同研究の実績、相談できるテーマを分かりやすく整理します。
    研究内容だけでなく、「どんな課題を一緒に解決できるか」まで伝えることが重要です。
  • 論文や研究実績を海外へ届けたい場合
    英語対応はもちろん、論文、受賞歴、学会発表、研究者プロフィールを探しやすく整える必要があります。
    研究テーマやキーワードを英語でも分かりやすく示し、海外の研究者が研究室の専門性を短時間で理解できる構成にします。
  • ディープテックスタートアップや社会実装を見据える場合
    研究の仕組みだけでなく、技術がどの社会課題に向き合い、将来どこで使われるのかを伝えます。
    開発ロードマップ、実証実験、連携先、製品化に向けた取り組みなどを見せることで、企業・投資家・協力者との接点をつくりやすくなります。

4. 研究の仕組みを、図解でひらく

どの研究室にも、研究の背景や仕組みをまとめたPowerPointがあります。
そこには、研究者にとって必要な情報が細かく整理され、ポンチ絵も数多く入っています。一方で、そのままWebサイトに載せても、学生や専門外の企業には伝わりにくいことがあります。

大切なのは、資料をきれいに並べ直すことではありません。まず時間をかけて読み込み、先生や研究者にインタビューを行い、研究の本質や、いちばん伝えるべきポイントを理解することです。

そのうえで、情報を削ぎ落とし、デザインの視点で「どこを見せるか」を決めます。静止画のポンチ絵だけでは伝わりにくい流れや変化は、アニメーションを使うことで、より直感的に理解できるようになります。

研究者には正確に伝わり、学生や共同研究先には「なるほど」と思ってもらえる。
そんな図解ができると、Webサイトのためだけでなく、学生への説明、共同研究の紹介、学会発表やプレゼンテーションにも活用できる資産になります。先生方に喜んでいただける理由も、そこにあります。

5. 研究室の雰囲気は、写真と動画で伝える

研究室サイトで、学生に一番伝わるのは、研究テーマの説明だけではありません。

「どんな先生がいるのか」「どんな学生が集まり、どんな空気の中で研究しているのか」。

研究室の雰囲気を映すことは、学生募集において特に重要です。
予算に応じて、研究室のメンバーがiPhoneで撮影する方法もあります。ただ、教授や学生のポートレート、実験・議論の風景、研究設備、研究室の空気感まで伝えたい場合は、プロのカメラマンによるスチール撮影が大きな差になります。構図、光、表情、撮るべき場面まで設計された写真は、サイト全体の信頼感をつくります。

動画は必須ではありませんが、予算があれば非常に効果的です。特に学生募集では、先生の言葉、学生の表情、実験の様子、研究室の日常が短時間で伝わります。学生にも必ず出演してもらうことで、「自分もここで研究するかもしれない」というイメージを持ってもらいやすくなります。
研究室のメンバーは毎年変わり、学生の顔ぶれや研究環境も少しずつ変化します。写真や動画は一度撮って終わりではなく、2〜3年に一度を目安に撮り直すことで、今の研究室らしさを保つことができます。

6. 研究の先にある、社会との接点を描く

研究室サイトでは、論文や研究テーマを紹介するだけでなく、その研究が将来、誰のどんな課題につながっていくのかまで見せることが大切です。

たとえば医療系の研究であれば、技術の精度や仕組みだけではなく、患者や家族にどんな安心を届けられるのか。
環境系の研究であれば、分析技術や基礎研究が、資源循環や自然環境の改善にどう役立つのか。
エネルギーや材料の研究であれば、社会や産業の未来にどんな可能性をつくるのか。

研究者にとっては当然の前提になっていることでも、学生、企業、メディア、資金配分機関にとっては、そこが最も知りたい部分でもあります。
社会実装、共同研究、実証実験、製品化へのロードマップ、連携先、将来のビジョン。
こうした情報を研究内容とつなげて見せることで、研究が「今、何をしているか」だけでなく、「これからどこへ向かうのか」まで伝わります。

研究の価値を、研究室の中だけで終わらせない。
社会との接点まで丁寧に見せることが、共感する学生や企業、新しい協力者との出会いにつながります。

7. まとめ

研究室サイトは、研究内容を掲載するだけの場所ではありません。
研究の価値を整理し、学生、企業、共同研究者、社会との接点をつくる発信拠点です。

研究の目的を一言で伝えること。
研究室ならではの強みを見せること。
図解や写真、動画を使いながら、難しい研究を分かりやすく届けること。
そして、研究が社会にどうつながるのかを伝えること。

こうした設計によって、研究室サイトは「ここで研究してみたい」「一緒に取り組みたい」と思ってもらう入口になります。

また、Webサイトだけでなく、研究室の発信全体でビジュアルをそろえることも重要です。
研究紹介のPowerPoint、学会発表資料、ニュースレター、研究室案内、採用・学生募集資料なども、同じ考え方とデザインで整えることで、研究の信頼感や認知はより高まります。

ニコットラボの研究デザインラボでは、研究内容の整理、情報設計、図解、撮影、Webサイト制作に加え、PowerPointやニュースレターなどの発信ツールまで一緒に設計しています。

研究の魅力を、研究室の外へどう届けるか。
研究室の発信を見直したい方は、研究デザインラボへご相談ください。

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