Project 信頼感と専門性を伝える心理学研究機関のWebサイト
| Release | 2025.03 |
|---|---|
| Client | 藤田医科大学 精神・神経病態解明センター 変革融合精神医学部門 牧之段研究室様 研究室Webサイト |
| Role | Direction,Design,Front End Development,Back End Development,Motion Design |
| Url | https://www.tpsyr.com/ |
| Release | 2025.03 |
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| Client | 藤田医科大学 精神・神経病態解明センター 変革融合精神医学部門 牧之段研究室様 研究室Webサイト |
| Role | Direction,Design,Front End Development,Back End Development,Motion Design |
| Url | https://www.tpsyr.com/ |

藤田医科大学 精神・神経病態解明センター 変革融合精神医学部門 牧之段研究室は、「臨床のラボ」として基礎研究と臨床研究を融合させたトランスレーショナル研究に取り組んでいます。
研究の核心は、精神疾患、自閉症スペクトラム症・統合失調症・PTSDの病態解明です。特に、小児期逆境体験(児童虐待、いじめ)が脳に与える影響に着目。子供の脳は柔軟であるがゆえに、虐待による髄鞘(ずいしょう、マイエリン)の損傷が生涯にわたる影響を及ぼすことを、マウス実験、iPS細胞、ゲノム解析、脳波測定といった多角的なアプローチで解明しています。
「児童虐待を無くしたい」という強い想いのもと、免疫学、社会学、心理学、物理学、化学など、さまざまな領域を融合して患者のための研究を推進。いろんな人と融合して変革を起こしていく。その姿勢を体現するのが、研究室の名称「TPSyR(Transformative Psychiatry and Synergistic Research / 変革融合精神医学)」です。
本プロジェクトでは、補助金獲得や研究協力先の拡大、優秀な学生や若手研究者の関心を引くことを念頭に、先アカデミックな信頼性と先進的な印象を両立させるブランディング設計を行いました。
ニコットラボは、ロゴデザインからWebサイトまで一貫したブランディングを実施。エクソソームをモチーフにしたロゴアニメーションと、髄鞘の信号伝達を表現した背景デザインで、「領域の融合」と「変革」を視覚化しました。
牧之段研究室の最大の特徴は、基礎研究(マウス、iPS細胞)と臨床研究(ゲノム、脳波)を融合させたアプローチです。免疫学、社会学、心理学、物理学、化学など、さまざまな領域を横断し、「融合して昇華する」研究姿勢をどう視覚的に表現するかが課題でした。
主なターゲットは、大学院生や海外の若手研究者。クライアントとのヒアリングを重ね、堅苦しくない、先進的で遊び心のあるデザインが求められていることが分かりました。
一方で、研究費審査を行う年配の研究者にも信頼感を与える必要があり、専門性とクールさを両立させるバランスが求められました。
トップページのオープニングアニメーションでは、ロゴとメッセージが登場する動きそのものに研究室の世界観を重ねる構成としました。アニメーションは単なる視覚効果ではなく、研究内容から抽象化した「情報伝達」「拡散」「相互作用」などの概念を静かに内包しています。
また、ページ全体にわたり、要素の出現・移動・遷移に緩急や間を設け、洗練された知的印象を形成。見る人の印象に残る、静かで奥行きのある動きを設計しました。
背景に配置した細い線の点滅アニメーションは、髄鞘の信号伝達をモチーフにしています。信号が髄鞘の間をジャンプする様子には研究のプロセスを暗示させており、この視覚的な動きが、「過去から未来へとつながる技術の融合」「時間軸を超えた変革」というメッセージを伝えます。

心理学の研究は専門性が高く、外部の人にとっては距離を感じやすい分野です。
そのため本サイトでは、研究テーマを視覚的にわかりやすく整理し、専門外の閲覧者にも研究の意義や魅力が伝わる構成を目指しました。
各研究テーマには、抽象化しすぎず親しみやすいアイコンを用い、内容と直結したビジュアル表現を取り入れています。これにより、初見の学生や外部関係者が研究の方向性や応用可能性を把握しやすくなるよう設計しています。
文章も難解な専門用語はなるべく避け、専門性とわかりやすさを両立させて「この研究が社会にどう役立つのか」が自然と伝わるよう設計しています。
ブランディングは、研究の本質理解から、ロゴデザイン、Webサイトまで、「融合」と「変革」というコンセプトを一貫して表現しました。
ロゴデザインでは、細胞間の情報伝達に関わる「エクソソーム」をモチーフに採用。エクソソームの運動軌跡をグラデーションで表現し、知的でダイナミックな印象を持たせました。
さらに、その軌跡を一つの円に集約することで「多領域の融合」と「知の循環」を象徴し、研究室の理念と一致する造形に仕上げています。安定した円形は、学術的信頼性や円満な関係性も表現し、研究内容と直結したアイデンティティとして機能しています。

「児童虐待を無くしたい」——その想いから始まる研究は、小児期逆境体験が脳に与える影響を解明し、将来的な治療法の開発につながる可能性を秘めています。
牧之段研究室が目指す「領域の融合」と「変革」。その挑戦を、ニコットラボはこれからもデザインの力で支援し続けます。